差動伝送がパラレル伝送、シリアル伝送より高速でノイズに強い仕組み

パラレル伝送

パラレル伝送は複数の信号線を使って信号を同時に送信します。

しかしパラレル伝送は複数の信号線でデータを送る仕様上、信号線を長くしたときに、微小な信号線の長さ誤差によってデータを受信するタイミングがずれてしまい、同期が困難になってしましまう問題があります。

そのためパラレル伝送では信号線を長くすることはできません。そのためパソコン内部のバスなど、伝送距離が短く済む所などで使われます。

パラレル伝送でデータ転送量を上げるには単純に信号線の本数を増やすか、クロック周波数を上げる(データを送信する間隔を短くする)の2つが考えられます。
しかしそうしてしまうと今度は信号線同士が干渉しあい、意図しないノイズが信号に乗ってしまうという問題が出てきます。

まとめるとパラレル通信ではデメリットが多いことが分かります。メリットを上げるとしたら実装コストが低いことでしょうか。

  • 配線を長くできない
  • データ転送量が少ない
  • ノイズに弱い

シリアル伝送

パラレル伝送のデメリットを抑えた上でシリアル伝送を見ていきましょう。
シリアル伝送はデータを1ビットずつ連続的に送受信する通信方式です。配線は最低で信号線とGND線の2本だけで済みます。
シリアル伝送ではデータ転送量は落ちますが、パラレル伝送のような信号の遅延は問題になりませんし、パラレル伝送より高クロックの通信に耐えることができます。

ノイズ問題

これまで紹介したパラレル伝送、シリアル伝送はノイズへの耐性が低いことが問題になります。
信号を流れる電流の流れに注目して下さい。

パラレル伝送、シリアル伝送では信号はGNDからの電位差から判定しています。よって全ての信号線の電流は赤線に示したようにGNDに共通して流れます
これではGNDで発生したノイズが信号線に乗りやすいのです。

差動伝送

これらのノイズ問題を解決するのが差動伝送です。
差動伝送では主に100Ωの抵抗で終端された2本の信号線(プラスPとマイナスNと呼ばれる)を使って信号を送ります。

電流はGNDに流れずに、終端抵抗によって赤線に示すように2本の信号線に対して逆相に流れます。PとNで信号が逆相となっているのはそのためです。

差動伝送ではPとNの電位差を検出して信号を判定しています。

差動伝送ではもしノイズが乗ってしまってもPとNでノイズが逆相に乗ることによって、電位差をとったときにはノイズが打ち消されます。これが差動伝送がノイズに強い仕組みなのです。

ノイズに強い差動伝送ではシリアル伝送等に比べて信号の振幅(電圧の幅)を小さくすることができます。
例えば一般的なTTLレベルと呼ばれる信号では0~5Vの振幅を与えますが、差動伝送では数百mVの小さい振幅で済みます。
振幅が小さくて済むということは立ち上がり時間が遅いロジックデバイスでも高速にデータ伝送すること可能となるわけです。

まとめ

  • パラレル伝送
    • 複数の信号線で並列的に伝送
    • 配線を長くできない
    • データ転送量が少ない
    • ノイズに弱い
  • シリアル伝送
    • 1ビットずつ連続的に送信
    • 配線は長くできる
    • データ転送量が少ない
    • ノイズに弱い
  • 差動伝送
    • 2本の信号線の電位差から信号を判定
    • ノイズに強い
    • 高速データ通信が可能